年賀状をやらないキャラのススメ
わたしの親友に、年賀状を出さない人がいるんですね。
彼は誰から年賀状が来ようが、たとえばそれが上司でも、返信しようという気持ちが全くないんです。
それなのに不思議なのは、彼は会社でも好かれているようで、これまで彼を嫌いだという人にはほとんど会ったことがありません。
なにかローカルルールに反したこと、たとえば部活で先輩にあいさつをしないなど…をすると、とうぜん最初は「礼儀がなってない」とか言われるんだけど、
しばらくすると、「そういうキャラなんだ」と周りが勝手に理解し始める。
当人はそのときが来るまで平然としている…というか、そもそも好かれることを目指していない。
一言でいえば、そういうことに関して恐れがないんです。
わたしはいつも「自分もそうなりたいなあ」と、内心憧れの目で彼を見てきたけれど、自分はなかなかそうなれませんでした。
でもある年、ためしに年賀状をやめてみたことがあったんです。
それまで出していた年賀状を出さないってすごく怖かったんだけど、その年はなぜか出したくないという気持ちが勝った。
出さなかったことで、いろいろ気疲れもしました。
でも不思議と、気を使わなくていい相手もたくさんいたことに気が付きました。
あの人は怒らないだろうなって、実は最初から分かっていたことだったなあと思いました。
自分が恐れていたことが理解できると、自分にも選択肢があったことに気が付くんです。
あの人には嫌われてもまあいいや…とか、あの人にはぜひ出したいな!とか、
そんな風に自由に思っていいというのは、好き嫌いのカードを持っているのは相手…と信じてきた人間にとっては、なかなか衝撃的なわけです。
そうやって良かったなと思ったのは、人間関係が楽になったことです。
自分ががんばっていることって、要するにやりたくないけれどやっているわけで、他人への厳しさというのは、要するに自分の苦しみなわけです。
自分を義務から解放すると、自分が他人に義務を課すようなことが減り、
自分に年賀状を出さない人がいても、それは相手の自由…と気楽に思えるようになるわけです。
年賀状を出さない修業は、誰にでもおすすめできるものではありませんが(初心者は上司にはとりあえず出しといたほうがいいかも…笑)、
でも一度出さないことを想像してみるだけでも、いろいろなことがはっきりしてきます。
自分にとって自由な相手はだれか?
自分と対等な関係の人はだれか?
自分の元気が減る相手はだれか?
自分が恐れている相手はだれか?
自分が見返りを求めている相手はだれか?
自分が人に厳しくなってしまっている理由など、
そういうことが判明するのは恐ろしいけれど、でも自分の心の自由は意外にもそういうところに隠れているような気がします。