マネジメントが苦手な経営者のための13個の改善ポイント

経営成功への道は2種類に分けられます。1.ひとつは自分でやる道、2.もうひとつは人にやってもらう道、です。

よく、経営者には人に任せられる人格が必要だ、と言われますが、わたしは必ずしもその限りではないと考えています。なぜなら、人に任せるのが得意な人もいるし、自分でやるのが得意な人もいて、両方のスタイルで成功者はたくさんいるからです。自分が子供のころ、人をまとめてから遊び始めたような人はマネジメントが得意だろうし、自分の好きなようにやるところに、それが「面白そうだ」と感じる人が集まってきたタイプなら、それも今っぽくて魅力的です。

自分がどちらであっても、自分に合わないほうになろうとするのは、きっと時間の無駄だろうと思います。とはいえ、最低限抑えておくポイントもあると思うので、簡単ではないですが、どちらにしても、自分のタイプを早めに見極めることがそのスタートかなと思います。

下記は、マネジメントが苦手だったわたし(笑)が、自分の活かし方を学ぶために使ってきたアイデアです。とくに「マネジメントが苦手」と自覚ができていて、わりと深めに自分の心の中を覗いてみれるという勇気のある人向けです。

☆ まずは自分がマネジメントが苦手なのだと自覚する。

自分はマネジメントが苦手と自覚するのは、なにか自分に落ち度があるように感じてしまったりするので(わたしはそうだった)難しいことだと思いますが、

でもそれができると、選択肢が広がります。

そもそもマネジメント力が必要な、自分にとって苦手なタイプの人材を雇わなければいいじゃないか、

苦手なんだから、人を動かすことにこだわらずに自分でやればいいじゃないか、

正社員ががんばらないと経営が回らないスタイルをやめて、自分の力で集客をして、誰がやっても売り上げを立てられる仕組みにすればいいじゃないか、

と思えたります。

そうすると、マネジメント力がたとえなくても、というかむしろないことによって、かえって面白い仕組みができるかもしれない、という新しい視点が見つかるかもしれません。

マネジメントが苦手な場合は、それがいらない仕組みづくりに力をいれればいいだけで、それはあとで気が付くと、合理的な経営になっていたりします。

☆ やる気がある人が得をするようにする

経営者の仕事は、従業員の悩みの種になることではなく(笑)、やる気がある人が仕事をしやすい環境をつくることです。

もはやサービス業です。

たとえば、失敗しても挑戦したことを褒められる環境では、挑戦したいという人が増えます。

逆に問題を起こすと責められる環境では、成果よりも問題を起こさない選択肢を選ぶ…という企業文化が育ちます。

そつなく仕事をこなす「言われたことをやりましたけど」というタイプの人材を評価すると、そつなく仕事をこなすことが目標となり、

最大限の成果を目指すことや新しいことが生まれる文化にはなりえません。

マネジメントのゴールはシンプルです。

もともとやる気のある人が、やればやるほど楽しく豊かになれる環境をつくることが、マネジメントが苦手な人が取り組むべきマネジメントです。

マネジメントが苦手な人が陥りがちな「人を変えよう」という発想をあえて捨て、すでにそうである人にどうやって活躍してもらうか?と考えることができると、経営者は楽になれます。

☆ 遠い人には厳しく、近い人には優しくする

心が近い人とは、基本的な信頼関係さえあれば、「やる気マネジメント」は必要ありません。

一方で心が遠い人とは、どちらのせいでもないけれど、仕事をしてもらうための「駆け引き」が必要です。

だから、経営を安定成長させたいと願うなら、近い人を大事にするほうが合理的です。

大きな会社は「労働力」が必要ですが、中小企業の場合は、「自分事として考えられる人材」がいるか?というところがポイントになります。

とくにこれからの時代は、義務感というネガティブな動機は燃費が悪く、がんばることが美徳だった時代はもう終わっているので、

仕事が楽しいとか一緒に仕事をするのが嬉しいというような、苦しまなくてもできてしまうようなポジティブな動機でなければ、これからは通用しません。

近い人と健全な信頼関係を築くことは、ポジティブな動機による安定した経営の基盤となります。

☆ なぜ近い人を粗末にしてしまうのか?の心理学

マネジメントがうまくいっていない人の特徴は、わたしがそうだったのですが、本来近いはずの人との関係が悪くなってしまっていることです。

マネジメントはどんなタイプの人も使いこなさなければ、と思い込んでいる経営者が多いですが、

それは、日本が村社会で付き合う人を選べない、という環境からきている部分があるかもしれません。

遠い人を大事にしてしまうのもそうで、外では優しいが家の中で厳しいお父さんが昭和のころはたくさんいました。

なぜそうなってしまうかというと、外を大事にしなければ食べていけなかったからで、しかも外の環境を選ぶことができなかった(村から出ることができないと感じた)からです。

で、そうすると要するにストレスがたまるんです。苦笑

そして近い人にあたってしまう(あたらせてもらっている)んです。

でも時代は変わって、「外」で付き合う人は選べます。

経営者も自分が雇う人材は選べます。

近い人を粗末にしてしまってもいい論理は、昭和までの世代が星の数ほどつくりあげたけど(たべていくため、あなたのため、厳しさは愛など、挙げればキリがない。ほんとはただ自分のストレスなんだけど)

要するに、外で失う自尊心を内で補給しているだけで、理由は後付けに過ぎないんです。(from育児心理学)

近い人を遠い人よりも粗末にしてしまう理由は、相手が逃げられなかったりと、要するに「粗末にしやすいから」なわけですが、

遠い人に気を使い、近い人を食べてしまえば、大事な人から順に去っていってしまいます。

これは会社経営だけでなくて、老後に孤独になるケースが多いらしい、ぼくら昭和世代の男性における人生の課題でもあるかなあ…なんてふと思ったりもします。

☆ でも遠い人には厳しく!

でもこれはいい人になりましょうというようなあまったるい話ではなく、経営のことを考えれば、厳しさは当然必要かなと思います。

でも厳しさが必要なのは、いつも気を使っている遠い相手です。

でそれは日本人にとってはとても怖いんです。

だから手近に近い人に厳しくしてしまうわけですが、

そういう恐れを乗り越えることは、新しい時代に必要な心のブレイクスルーです。

厳しさが必要な状況…たとえば合わない人を雇ったり近い人との信頼関係が築けなかったりなどは、自分が招いただけなので改善すればいいだけです。

業績のためには、遠い人をしっかり管理する必要がありますが、

なぜそもそも心が遠い人までをも必要だったのか?という状況そのものをどう改善していくか?を考えるほうが早いと思います。

なによりもまずは、自分が粗末にしたから遠くなってしまっただけの人とは和解し、

遠い人(心が)のやる気に振り回されなくていい、もしくはお互いのためにそういう人を雇う必要のない、新しい仕組みを作ればいいだけです。

☆ 相性を大事にする

近い人遠い人の違いは、人材の良し悪しというよりも「相性」です。

相性とは、「やりとりが気持ちいい(たとえばイエスマンとの)」ことではありません。

会社の目的は、あくまでも一緒に協力して利益を上げることなので、

相性がいい人とは、双方とも利益を最大にしたいと自然に思っている、ビジネスゲーム大会で本気で勝ちたいと思っている、仲良しグループとも違う、スポーツのチームメイトような相手のことです。

さらには、会った瞬間に親友になった人もいるし、一緒にチームで戦うことによって心が通うようになった人もいると思うけど、きっかけはどうであれ、

経営者は自分のナンバー2や3とは、勝つためのチームメイトとしてだけでなく、対等な関係である友人としても通用するレベルの基本的信頼感が必要です。

相性が合わない人とは、そういうときに友人関係に発展しなかったタイプの人で、だれが悪いわけでもなくやはり「相性」の話なだけです。

学校とは違い、しかも今回は自分は自由になんでも選べる経営者なわけだから、世のために無理をする必要はありません。

☆ 自分は与えているのか?奪っているのか?を把握する

たとえば「褒める」というのは、自尊心を与える行為です。

逆にいじめる、粗末にするというのは、相手から自尊心を奪っている行為です。

今日自分と接した部下は、やる気が増えたか?それとも減ったか?

こうやって個別にシビアに自分の毎日の行動を正直に把握すると、自分がマネジメントに向いているかどうかが分かります。

すると、自分では積み上げているつもりでも、実際にはそうなっていなかったり、

せっかく芽が出たものを大切に扱っていなかったりすることにも気が付けたりします。

天性のリーダーは、もし心のお金を与えれば、現実のお金となって帰ってくることを知っているので、決して相手から自尊心を奪わず、与えることに徹します。

マネジメントが苦手な人は、わたしもそうですが、今一つそこが上手にはできないことを理解して、それを罪悪感なく受け入れ、

そのうえで「全員にそれを自然にやるのは無理だろうから近い人だけにやればいいや」でOKです。

そしてそこから先は、その近い人に助けてもらえばいいのです。(やらせる、んじゃなくて「助けてもらう」。そして物心の両面でちゃんと感謝の気持ちを表現する)(わたしも人間関係がわたしよりもちゃんとできる「近い人たち」に助けられました)

☆ 自分はまだいい気持にならない

細かなやり取りで、つい目下の相手に勝ってしまう経営者は多いです。

なぜそうなるかといえば、それは自分の脳がいい気持ちになりたいからです。(相手を負かすと、喜ぶホルモンが脳内に出てしまう)

たとえば「あいさつをさせる」というようなことも、心理的には会うたびに500円を徴収しているのと同じなので、相手にしてみれば損がたまっていくわけです。

その段階で心の利益を早々にあげてしまうと…

よく考えると、相手に勝って、できれば会いたくないと思われて、そうなると業績も下がって、どう考えてもマイナスの要素しかないのにそうやってしまうのは…、無意味どころか害しかありません。

これはもう人間のエゴの性質(成果なんてどうでもいい。ただ勝ちたいだけ)としか言いようがないです。

とくに昭和世代は、自分は先輩に会うたびに500円を払うのが当たり前だと思ってきたので、新しい常識を受け入れるのはとても難しいものだと思います。

経営者がいい気持ちになっていいのは、儲かったときだけです。

そこまではずーっと物心ともに先に損(というか投資)をするわけだから、経営者が特別に裕福になる権利を、誰もが認めるわけです。

経営者はそういうハイリスクな役割を担っているだけで、それが上下関係ではないことが理解できると、新しい時代のWIN-WINマネジメントがうまくできるようになっていきます。

☆ 自分のエゴを客観的に把握する

自分のエゴをコントロールするためには、自分のエゴがどういうものでどのくらいの強さのものなのかを、正確に把握する必要があります。

そのためには、自分が論理的だと信じている自分の思考をいったん疑います。

「なぜできないの?」と言ってしまう前に、

「そう言いたい」「責めたい」のはなぜか?

自分のどんな部分がそう「したい」のか?

という感情の部分、動機の出どころを把握します。

把握できれば、抑えるところは抑え、必要な時にエゴのパワーを全開にすることができます。

ただこれは、頭がいい人ほど自分のエゴの論理があまりにもよくできているので、難しいものです。

ここでもやはり、脳の気持ちよさのためなのか?現実的な成果のためなのか?を意識できると、自分のエゴのパワーの扱い方への理解が深まります。

コツは、自分を正当化しようとする論理ではなく、その論理を主張したくてたまらない自分の「感情」にスポットを当てて観察することです。

☆ 自分を責めない

エゴは誰にでもあって、エゴ自体は悪いものではありません。

エゴのパワーは「どう使うか?」がポイントです。

そして「適材適所」は人材だけでなく自分にも当てはまって、

自分はなにができてなにができないのか?を正確に把握することができれば、自分を活かすことが可能になります。

そうできると、できないことは割り切って助けてもらうことでき、自分はできること(できないことをしなくいいための仕組みづくりなど。笑)へ全力を注ぐことができます。

そして「自分は助けてもらっているんだ」と理解ができていると、自分から本音の感謝がわき出るので、近い人との関係がより良くなっていきます。

自分のエゴのパワーがポジティブであれネガティブであれ、どう使うかを選ぶところが、ポイントです。

ただし、マネジメントが最低限できるようになりたいのは、成果のためです。

人に嫌われなくなったり人気を得るためにやることではありません。

スティーブ・ジョブズも、自分の最大限の力を発揮するために最低限のマネジメントができるように心を整えただろうと思いますが、でもマネジメントはゴールではなく手段に過ぎなかったはずです。

このあたりにも、とくに日本人は、偉そうにしたいのとは逆方向(好かれたい)のエゴが隠れているものですが、

それも含めて自分の性質として把握し受け入れることができれば、最大限の力を発揮するための最低限の自制心を得ることができます。

☆ マネジメントが向いていない人は自分でやればいいだけ。

マネジメントが苦手なことは、人格の優劣ではなくてただの「向き不向き」です。

そういう人は、たいていそのほかの才能を与えられて生まれてきたはずです。

頭がいい人は、自分が考える役に回る。

何をすれば成果が出るのか?を具体的に考え、具体的に一つ一つ指示をする。

考えなくていい仕組みを造る。

考えて動け!が口癖みたいになっている経営者は多いけど、考えるのは他の誰でもなくあなたの仕事なんですね。笑

そうすると、考えられた後のあとはやるだけになった作業をやること自体は苦でない人を輝かすことができ、WIN-WINになれます。(考えるのが得意な人は、それをやることの方は苦でしょう?)

苦しいのは、マネジメントが苦手な人が間違えてやる気マネジメントをがんばってしまったりして、本来の良さである考える能力を忘れるようなときです。

☆ 経営は心理学

本当に合理的に経営を考えるなら、経営は心理学です。

オーナーはリスクを負う仕事をし、あとはパートナーも幸せに仕事に取り組めたら、それで話は終わりです。

だけど、マネジメントの得意不得意問題と、自分の感情問題(エゴ問題)がごちゃまぜになると混乱します。

経営の心理学は、人をどう動かすかというよりも、まず自分の心理を把握することが大切です。

成果が欲しいといいつつ、実はいい気分をほしがっていただけのエゴを直視することだったりと、決して気持ちの良い作業ではありませんが、

本当に合理的に考えるなら、双方ともお互いの立場なりの自由になれる道を選んでいけばいいだけです。

これはリスクが恐ろしくてなかなかできないところがポイントで、失敗することもあるわけですが、

わたしも「任せた」と言いながら実は任せていなかったりと、そういうときは自分のエゴが暴走していたなあと、振り返るとわかります。

でもあるとき、「任せたならもし失敗したらそれも自分の責任なんだ」と割り切れてからは、腹をくくって任せることができるようになりました。

日本人は、ふだん自分を抑えながら理性的でいることをがんばっているからか、立場が上になった瞬間に、脳が一瞬でエゴに乗っ取られてしまうことが多いものです。

お客になったとき、先輩になったとき、上司になったとき、監督になったとき、親になったとき、対等の親友には絶対に言えない言葉が言えてしまったりします。

それは、気持ちがいいだけでそのほかにはなんのメリットも生んでいないし、人を遠ざけるだけだし、いいことは一つもないのにそうなってしまうのは、人間の脳がまだ進化しきっていないからです。

自分のエゴが、自分が横柄になっていい論理を(偏桃体が大脳を使って)展開し始めたら、自分なんてしょせんは食欲すらコントロールできない、まだ進化途中のおサルに過ぎなんだと、自分を下げるのではなく、あほかわいく思ってあげると、自分のエゴの暴走はたいてい収まります。

☆ できればプライベートと同じ人格で経営をすること

仕事とプライベートの人格が違うのが良いことだとされたのは、トレンディドラマの時代までです。笑

オンオフが分かれているとなんかかっこよかったですよね?

でも現代は、仕事でもプライベートでも同じ人格でないと、内外に信用されません。

相手を知りたいとき、たとえばわたしはその人がその人にとって近しい人をどう扱うか?を見ます。

なぜなら、それが自分が近づいたときに受ける対応だからです。

家族を大事にしている人はまず大丈夫だし、

次に自分の直近の部下を大事にしている人も安全です。

こういう人たちのためなら、自分の仕事もちゃんと活きるし、成功すれば認めてもらえるのは間違いないからです。

そして、前向きに仕事をしたいと思っている部下もまた、そこを見て上司を選びます。

だから人の協力を得られる上司になるためには、人格を演じわけているような時間はなくて、本来の人格一本の正攻法でいくしかない時代なのです。

それで好かれるかどうかはまた別の話ですが、それは相性として考え、

自分にとっての最高の成果を求めるためには、やはり自分が一番自分らしい自分でやるべきなのです。

建前で生きてきたぼくら日本人には簡単なことではありませんが…。

まとめ

わたしは、商売は好きなんだけど、でもマネジメントには苦手意識がありました。

夜も眠れないほど悩んでいて、とても苦しかった思い出があります。

でもわたしの場合は、自分がマネジメントが苦手なんだ、と自覚できてから、楽になりました。

一般的なできるマネージャーを目指すのをやめ、自分にとって最善な方法を探しました。

そこで辿りついたのが、「近い人を大事にする」「開き直って自分でやる」だったり、「ありのままの自分でも成果が挙がる仕組みを作ればいいだけなんだ」といったアイデアでした。

そのときにポイントだったのがやはり自分の心理で、いろいろな角度から自分の心理を理解することができるようになってからは、それらの経営の改革が実際にできるようになりました。

 

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