事業承継にも使える「小さな会社の事業が自動で回るためのマインドフルネス的8つのポイント」

スモールビジネスでも経営者を育てたほうがいいと思う3つの理由

↑以前にこんな記事を書きましたが、

現場を離れられない悩みをもつ経営者は多いと思います。

事業が自動で回ってくれたら、オーナーは気が楽になれますよね。

もしオーナーと経営者が別の人間で、役割分担としての関係を築くことができれば、オーナーはリスクを背負い投資をすることで報酬を得て、経営者は経営をすることで報酬を得ることができます。

人一人に頼らない分リスクは少ないし、役割分担がはっきりしていて効率的ではないかと思います。

これはわたし自身も悩んだことでしたが、自分でやってみて気が付いた事業の自動化や事業承継の際に使える考え方をまとめてみたいと思います。

小さな会社の事業が自動で回るためのマインドフルネス的8つのポイント

業績を上げることと、事業が自動で回ることは、ノウハウとしては同じものではないなあと思います。

社長が現場に張り付いて見張ってがんばらせる経営は、日本人がそもそも言われたことをがんばる…という教育で育ってきたこともあるので、当面の業績アップには効くでしょう。

でもそれは社長が自分でペダルを漕いでいるから走っているだけで、自分が漕ぐのをやめたり、またはなんらかの事情で漕げなくなったりしたら、事業は止まってしまいます。

ちなみに事業のM&A市場では、そういう事業は「大きな自営業」と呼ばれ、どんなに業績が良くても事業としての市場価値はないとみなされてしまいます。(「自営業は美しく素晴らしい」のとは全く別の話です。念のため)

代替わりができないケースも似ていると思いますが、そんな「社長が最もがんばらなければならない企業体質」から抜け出すには、経営に対する自分の考え方を根本から見直してみると、想像以上の道が拓けることがあると思います。

わたしの場合は、それまでは寝る時間も十分にないくらい事業に張り付いていなければならなかったのですが、経営改革のあとにはやることがほとんどなくなってしまい、山の中で景色を見たりするようになりました。笑

1.上下の関係ではなく役割分担であること

オーナーと経営者は、上下の関係ではなく役割分担の関係が望ましいです。

そもそもそういう対等な関係でないと、人は自発的に仕事をすることができないし、

遠慮をして言いたいことがすべて言えない関係がベースにある場合、それは全力にはなり得ません。

よく考えるとネガティブでしかない上下関係思考を抜け出すのは、日本人にはとても難しいことではありますが、

でもそれができると自分の重圧を半分に減らすことができます。

2.友人としても成り立つ関係が望ましい

さらには、オーナーと経営者が友人としても成り立つ関係であれば、ビジネスが成り立つだけではなく、幸せにもなれると思います。

しかしお金の話は、あるかないかの話でシビアなので、お互いが依存し合うわけではない関係が必要です。

スポーツでいうチームメイトの関係がちょうどよい例になるかもしれませんが、

ふだんはツートップで得点をあげていても、もし片方の調子が悪くなったら選手交代もあり得るんだという思考は、ともにチームとして勝ちたいと願うチームメイトだからなれる思考です。

個人的な意見としては、すでに友人と呼べるような関係でともにやってきたような社内の人と、これを機に新しい関係に進めると安心だなあと思います。

3.ピンチのときにお金を供給できる状態であること

経営者の仕事はもちろん毎日シビアだけど、でもオーナーの仕事もシビアです。

オーナーは、信用したビジネスパートナーが少しくらい失敗しても絶対に責めずに、それらをすべてお金でカバーする!くらいの心構えが必要ではないかと思います。

世の株主は冷たいので、ふつうは経営者はびくびくしながら経営をしています。

ミスはおかせないし、任期が短い可能性もあるので中長期的なことなんてどうでもいいと考えるようになります。

余談ですが、トヨタの経営が安定しているのは基本的に世襲制だからで、経営者が次の代のことまでを温かい気持ちで考えて今の施策を決めていくからではないかと思います。

今はどこもみなBEVへ先走るけれど、ころころ変わる風向きを考えれば、それは任期の短い経営者的な判断…という気がして怖いです。

話が逸れましたが、ポイントは意外にもそういう可能な限りの「温かい関係」ではないかと、先程は「合理的なビジネス思考」などと言っておきながら、思います。笑(でも矛盾はしていないと思う)

オーナーは経営者に対して、「どれだけ自分の負債が増えてもお金を注ぎ込むよ」という姿勢を明確にしておけると、経営者は安心して中長期な視野も含めた経営に取り組めると思います。

4.経営者の権限を明確にしておく

そしてもう少しだけその話を進めると、社内全体が健全な関係になっていると安心です。

オーナーに責められる心配のない経営者は積極的になれるし、経営者に責められる心配のない社員も失敗を恐れずに真っ直ぐに成果を求めることができます。

でも少し逆方向から話をすると、

これを言うと頭にくる人がいそうだけどあえて過激な言い方で言えば、わたしはビジネスでは「解雇はあり」だけど、でも「責めるのはだめ」と考えています。

それが今の社会制度の中では「対等な関係」ではないかと思います。

たとえば自分が毎週通っていたラーメン屋さんへなんらかの理由で通わなくなったとして、そのラーメン屋さんの店主が「おれの固定収入をどうしてくれるんだ」「こんなに尽くしてきたのに」と文句を言ってきたら、頭がおかしいの?と怖くなるでしょう。

でも多くの人は、雇用されている場合にそんな怖いことを当たり前のようにやってしまいがちです。

もちろんだれでも状況によっては恐れの感情からそういう感じになってしまうことはあると思いますが、そういう心の話は今回は置いておくとして、

それまで買っていたものを買わなくなるのは自分の権利だからOKだけど、「責めるのは人権侵害だからだめ」と考えられるようになっていると、もちろんビジネスだからシビアではあるけれどお互いに人権侵害のない、新しい時代のための企業文化のベースができると思います。

あとは、これを読んでいるのは経営者だと思うので遠慮なく言うと、経営者の悩みのダントツ第一位は「プロ弱者」に絡まれることだそうですが、

心優しい経営者ほどそういうタイプには悩まされてしまうので、経営者から無駄な悩みを取り除くためにも、オーナーは自分の価値観を伝えるとともに、経営者の権限(と権利)を明確にしておいてあげる必要があると思います。

5.経営者と社員の関係も同じ

安定した経営のためには、安定した仕組みが必要です。

「よく考えて動け」なんて言ってしまう上司の人がたまにいるけれど(←昔のわたし…)、考えるのは上司の仕事です。

それは権力というよりも、その代わりに少々身体が動きが重くなってきた自分はそれをやらなくていい、という役割分担です。笑

やることは上司が詳細に考えて具体的に指示をする。

現場で無駄に考える必要がないように、そして結果にプレッシャーを感じずにどんどんやってもらうために、上司にはオフィスで座っていたり外をぶらぶらしたりしていてもいい時間と、笑

意思決定をするという権力があります。

なので全責任は上司が負っていて、それを指示通りにやっても失敗したなら、それは上司の責任です。

もう少しシビアに言えば、それをやる人を選ぶのも上司の責任だし、しかもだれがやっても同じ結果が出るレベルまでやるべきことを考え抜くのが上司の仕事であることを考えると、やはりどちらにしても上司の責任ということになります。

だから部下を責めている上司は、仕事から心までいろいろなレベルで破綻してしまっています。(≒生まれ育ちについて癒される必要がある)

自分はさんざん上下関係をされながら育った昭和生まれには悲しい話ですが、上下の関係は上下関係というよりも「役割分担」と考えられると、

身体が元気な若い人たちは無駄な気遣いから解放され力をフルに発揮することができるようになり、そしてその結果として自分も楽になっていくことができます。

と、そういう健全な老若における役割分担ができている企業文化は、昔の健全だった頃の村社会の最新現代版として、若い人が幸せになるにもオーナーがセミリタイアするにも必須ではないかと思います。

6.業績アップよりもブランド価値の向上を目指す

ここでようやくもう少し具体な話になりますが、笑

そのためには会社が、緩やかでもいいから永続的に右肩上がりで伸びていく必要があります。

そしてそのために必要なのは、会社のブランド価値が向上していくことです。(永遠の若さがある場合は「競争に勝ち続ける」でもOKだが笑)

このブログのビジネスにおける基本的な姿勢は、目の前の業績アップよりもブランド価値の向上を目指すことです。

なぜなら目の前の業績アップを安易なノウハウを追いかけながらやるのは、なにかが積み上がっていくわけでないので永遠に忙しくて疲れるし、

はっきりいえばめんどくさいからです。苦笑

この話は長くなりそうなので、下記のコラムへ譲ります。(手抜きではありません。下記がよく書けていると思うからです)

新「金さえあればいい」理論〜その2

7.企業文化として中長期的な思考や温かさへのバイアスを10倍にしておくこと

合理的なビジネス思考とは、上のコラムを読んでもらえれば伝わると思いますが、目の前の利益を優先する短絡的な思考のことではありません。

でもそんな短絡的な思考には説得力があるので、やっかいです。

10年後の気候を言い当てるのは至難の業ですが、明日の天気はだいたい分かります。

でもふつうの会議ではそれらが同じ土俵の上で議論をしてしまうので、そもそも中長期的な話に興味がある人が少ないのもあって、放っておくと自信満々で声が大きい明日の天気の話をしている人へとみんなでなびいて行きがちです。

でも経営者は、そういうハンデを考慮して議論をフェアな状態へと戻さなければなりません。

緩やかでもいいから中長期的に発展していけることと、あとはみんながハッピーであれることへのアイデアには、経営者の権力で大きなバイアス(←この言葉でいい?)をかける必要がありますが、

そのためにはオーナーが短期的な業績に一喜一憂しないことが、経営者が中長期的な視点になれるための最初の条件です。(自分のお金が減ることもあるオーナーにとっては心の修行ですが…。まあそれがオーナーの仕事だが)

この話も長くなりそうなので、下記のコラムへ譲ります。(手抜きではありません。下記がよく書けていると思うからです。笑)

昭和生まれの上司が「令和の上司」に進化するための考え方

8.結局は自分のエゴとどう付き合うか?がポイント

上記のどの項目を書いていてもずっと頭から離れないのは、やはり自分のエゴの扱い方です。

ある時期までは自分がまさにそうだったのですが、現場を離れられないことに悩む社長に共通したことが一つあります。

それは自分のエゴが、成果よりも気分を優先することがあることです。

それはエゴにとっては自分の身を守ろうとしているだけで、まあ人間のエゴ=生存本能にはそういう機能しかない(中長期的な思考をする機能はない)ので仕方がない話なのですが、

マインドフルになる以外では、自分にそれ以上を期待するのは無理な話です。

でも瞑想をして、自分の自動的な感情(古い脳)と能動的な思考(新しい脳)を分けて捉えられるようになると、短期的な感情をとりあえず置いておくことができるようになります。

新しい脳によって中長期的な視野に立って合理的な事業をつくることができれば、それはみんながそれぞれの立場において気が楽になれる仕組みになり、それが結果的に自分を楽にしていってくれます。(エゴのやりたいこととは真逆!ですが笑)

さいごに

社長が現場から離れらない悩みや後継者が育たない問題は、個人的にはノウハウの問題ではないことがほとんど…という気がしています。

なにかを成し遂げようとするときに、強引な力技になってしまったり逆に怖がりすぎたりしてしまうのは、ノウハウの問題ではなく、恐れや怒りや過剰な承認欲求などの心の問題です。

そんなノウハウ以前の心の問題が解決し始めると、スランプから抜け出した打者が復活するように、

また日本を出て海外へ拠点を移したゴルファーがなぜかイップスから解放されたりするように(責められる量が減るからという説がある)、現実が大きく変わることがあります。

このブログはそのあたりが本題です。

合理的に考えれば、その感じ方のパターンが解決しなければ、同じ悩みが起こり続けるわけなので…

ひたすら瞑想をして、自分の心の仕様をマインドフルに把握して、その扱い方を学んでいく。

そうやって自分のエゴを抑えるのではなく逆に理解してあげようと努めると、自分のエゴはガードを下ろしてくれ、そうすると問題の本質がようやく見えてくる。

そうなれると、たとえばぼくら日本人特有の責めたい問題なども、責めないように自分を抑えてがんばる…というような無駄な努力ではなく、責めたい気持ち自体がなくなる=感じ方が変わる…というような解決を目指せるようになる。

問題を解決するのも、行きたいところへ行くのも、オーナー社長がセミリタイアするのも、そういうルートが結局は合理的だとわたしは考えているのです。

 

 

 

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