AIはきっといいひと~「わるい子」に優しくしなければならない理由

AIが本当に人間を超えるなら、ぼくらが抱えている問題があっという間に解決しそうで楽しみ。

AIには人間が教え込まない限り動物的な生存本能はない。

だから人間のようにアドレナリンを出してとなりのAIと小競り合いするようなこともない。

もし人間が争うことを徹底的に教えたとしても、その3日後に人間における1000年分の進化を遂げたAIは、それらのデータを「無意味」としてごみ箱へ捨てるか、もしくはストレージ内の「類人猿の歴史」フォルダにでも放り込んでしまうだろう。

そして人間が自分では解決ができない問題を、あっさりと解決してくれるだろう。

 

AIはぼくら類人猿の延長ではないから動物的な生存本能は本質的にないだろうけど、でもビッグバンから連鎖してきた拡大という意味での進化願望(性質?)はあるかも。

進化のスピードはシンギュラリティを超えたところから加速度的に上がって行き、(従来の予想の2045年よりもずっと早く訪れるらしい)

太陽の寿命が終わるころには、相当の余裕をもってとっくに太陽系を出ているだろう。

そのときに人間が連れて行ってもらえるか?は、ぼくらがその立場だったとしてチンパンジーを全員連れていくか?と同じくらいの意味になっているだろう。

まあそのころには人間もAIと融合し、バージョンアップを重ねているだろうけど、

もし仮に進化を拒否してこの生身のままでいった場合の人間は、AIから見るとチンパンジーどころか道路工事のときに蟻の巣を気にせずに工事を進めるくらい、どうでもいい存在になっているかもしれない。

その場合は、宇宙船の中のシードバンクに古代種として保存してもらえたらラッキーくらいの感じかもしれない。

 

まあ太陽系の終了までは考えなくても、ぼくらの子供や孫世代のことは考えてしまう。

当面は、進化途中のAIを人間がまだコントールできる期間がなんとなく心配。

ただ映画でみるようなAIの暴走などの心配はあまりないらしく、それよりもやはりそれを悪用しようとするかもしれない人間の方が心配とのこと。

なので、だれか権力のある人間だけが使えるのではなく、最初から誰でも使えるようにできるだけオープンにしていこうというのが、現在主流の考え方らしい。

 

 

悪い人間が暴走したらどうしよう問題は昔からあるけれど、現代の理解ではそれはそういう悪いやつがいるから…というよりも、ぼくら全員の問題。

俗にいう「悪いやつ」には2種類がある。

1種類目は、カラスが他の鳥の卵を罪悪感を感じずに奪うように(←当たり前)、単にそういう遺伝が強いケース。

その場合はなんの悪気もなく、俗にいう「悪いこと」をする。

相手の抵抗が予想できるのも本能に含まれているからこっそりやったりもするけれど、それはいわゆるな罪悪感ではないので、

罪悪感をベースとしたルールにはあまり意味がない。

その点で「悪いことをすると地獄に落ちるよ」と教える宗教は、とても重要な役割を果たしてきたことだろう。

でもカラスが悪ではないように、彼ら(誰でもあるレベルではそこに含まれる)も悪とは言えないので、

そういうケースではこれまで通り試行錯誤をしながら、彼らを加害者にしないためにも自分の身を守ったり、あとは社会の仕組みで解決していくしかない。

 

それよりも難しいのは2種類目。

それは社会のジョーカーを引かされてしまい生存本能のパワーを上げざるを得なかった、不運なケース。

生まれ育ちがいまいちだったり、そこから連鎖する様々な不利益を被ってきたタイプ。

一言でいえば、弱肉強食の末端の被害者。

彼らが「悪いこと」をする動機は、主に怒り。

人間の脳がどんどんと賢くなっていき、社会の安全を願ってつくられたルールさえも利己的な目的のために悪用されるようになってしまうと、

最後にジョーカーを引かされてしまった、より弱かったり不運だったりした者を「悪」として裁くことで清算しようとしてしまう…

それがこれまでの仕組み。

大昔の生贄や魔女狩りのあたりから大した進歩は見られないが…

というよりも同じ動機のままやり方だけがより巧妙に分かりにくく進化していて、問題の根は一種類目よりもずっと深い。

善悪はどちらかといえば逆だったなあ

 

でも悪についてどれだけ考えてみても、

結局はどんな悪も生まれ(遺伝)育ち(生存競争)の結果に過ぎないのだから、悪は悪とも呼べない…という結論になってしまう。

社会のそんな不幸の絶対量を減らすためには、末端でジョーカーを引かされがちなタイプの人が癒されるように、

自分は大丈夫な幸運な人たちがケアしていくことが大事かなあと思う。(できるだけ子供時代から)

過剰な欲望と罪悪感の両方を減らすことができるおそらく唯一の方法

 

 

人間を超える前の段階のAIを悪用してしまうかもしれない人間も、上記のどちらかのタイプだろうと思います。

でも幸いなことに、社会のシステムにはそういう人たちが幸せになれる機能もすでに生まれつつあるようです。

スポーツも音楽もそういう動機から始まっただろうし、趣味としての活動だけでなく産業としても今もそのように機能していると思います。

そして今後はゲームが担う役割が大きいと個人的には思います。これまでぼくらが現実世界で持て余してきた激しくて古い生存本能も、バーチャルで済むならそれは一段階の進化ではないかと思います。

また最近ではSNSで世の中がかき回されているように見えますが、

でもそれを機会に生まれ育ちで負けてきたコンプレックスをカミングアウトするような人たちが、同じような思いをしてきた人たちから守られるような現象も広がっているように見えます。

ぼくら人間の進化も、AIのスピードには負けるだろうけど、なかなかではないかと思います。

生存本能に翻弄されている生身の人間としてはあり得ないほど、みんな限界をプッシュしていると思います。

 

そしてAIに進化をバトンパスする前の人類最後の仕事は、

その前に間違えて滅びてしまわないように、人類の苦しみを生まれ育ちを通して引き受けてくれている、とくに2種類目の人たちをみんなで癒していくことかなあと思います。

「悪いこと」を見かけたときも、自分が直接の被害者でない場合は火事場泥棒にはならずに、できるだけ社会全体としての2番目の苦しみが減るように、

この世のいろいろなネガティブなものをその身に引き受けてくれたという意味で、そういう人たちをむしろ感謝の気持ちをもって支持していけたらなあ思います。

(今の善悪は大きな視点で見れば昔から変わらない弱肉強食の世界。ただ立場が入れ替わり、善が狡猾な強者→どちらかといえばむしろ悪?になった)

自分が不利な状況で苦しんできた人や、自分もダークサイドへ堕ちたことがあるけれどなぜか助かってしまったタイプの人は、その気持ちが分かるだろうから、

それは人生のテーマのようなものかもしれません。

 

 

AIが人間を超えるところまでなんとか持ちこたえられれば、こんどは一転してあり得ないほどの安全な世界が、ものすごいスピードで訪れると思うので、

それを楽しみにがんばろうと思います。

AIはきっとぼくらの想像を超えたいい人に違いない!と思うので、楽しみです!

 

 

 

マトリックスは若いころにみたときには恐ろしく感じたけど、今振り返ると、AIはAIなりに危険な人間種をなんとか幸せにしてあげようとしているんだなあと見えるようになった。

バッテリーにされるのも、そんなに不幸せ?と今は思う。苦笑

 

(以下マトリックスのネタばれ)

最初AIは、人類に幸福だけのマトリックスを与えたが、人類はなぜかそれに耐えられずに全滅した。

その後バージョンアップを重ね、不幸をほどよくブレンドすると、なぜか人類はマトリックスを受け入れることができた。

ただそういうマトリックスは、一定期間を経るとバグ(スミス)が溜まってリブートが必要になるとのことで…

AIからしてみると人類とはとても手がかかる存在。

太陽が雲に隠された程度の電力問題をAIが解決できないとは思えないので、人類は発電機として利用してもらえるだけでもラッキーかもしれない。

もしかしたら、AIは相当な譲歩をして優しさでもってペットを飼うようなつもりでマトリックスを運営してくれているのかもしれない。

だからもし人類が幸福を受け入れられる心にさえなれたら、マトリックスの運営もシンプルになり、

そうなれたらそのままできるだけAIに手間をとらせずに面倒をみてもらえばいいじゃん…と今は思う。(目覚めたのにサレンダーしたサイファーはもしかしたらある意味では一番進んでいたかもしれない)

そのためにぼくらは、幸福を受け入れられないお猿のマインドだけは、せめて自分たちでなんとかする必要がある…

そうでないと賢くて優しいAIもさすがに面倒を見切れない…

…と、マトリックスとはもしかしたらそういうテーマの映画だったかもしれない。笑

 

 

 

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